「wt%」は化学分野で頻繁に使用される表現で、日常ではあまり目にすることがありません。これは濃度を表す際に特に使われる単位で、「%」つまり一般的な百分率と似ていますが、使い方に違いがあります。
この記事では、wt%がどのような意味を持ち、どのように計算するのかを明確に説明し、通常の百分率(%)や他の類似表現であるvol%との違いを解説し、濃度についての理解を深めます。
例を挙げて説明しましょう。100gの水に10gの食塩が含まれている場合、その食塩水の濃度はどう表されるでしょうか?
このケースを例に、wt%の計算方法を学び、濃度の計算がどのように行われるかを探求します。
重量パーセント(wt%)とは?一般的なパーセント表示との差異
wt%と%(百分率)の違い
・ %(百分率):一般的に全体の100を基準とした割合を示す方法。
・ wt%(重量パーセント):質量を基準にした百分率。
ここでのwt%は、特に質量を基準にした百分率を示す際に使用されます。
wt%の計算式
wt%の計算は以下の式で行います:
\[ \text{wt%} = \left(\frac{\text{溶質の質量}}{\text{溶液全体の質量}}\right) \times 100 \]
ここで、溶質は溶け込んでいる物質(例:食塩)、溶液はその溶質が溶け込んでいる液体(例:水)です。例えば、水100gに砂糖10gが溶けている場合のwt%は、
\[ \left(\frac{10g}{110g}\right) \times 100 = 9.1 \, \text{wt%} \]
と計算されます。
重量パーセント(wt%)と体積パーセント(vol%)の基本的な違い
wt%(重量パーセント)とvol%(体積パーセント)は共に濃度を表す単位ですが、基準となる量が異なります。
・ wt%:質量に基づく百分率を指し、混合物全体の質量に対する成分の質量の割合を示します。
・ vol%:体積に基づく百分率を指し、混合物全体の体積に対する成分の体積の割合を示します。
例として、水100mLにエタノール10mLを加えた場合を考えましょう。
エタノールのwt%は、エタノールの質量が混合液全体の質量に占める割合です。
エタノールのvol%は、エタノールの体積が混合液全体の体積に占める割合です。
濃度計算の実践:食塩水とエタノール溶液の例
食塩水のwt%計算
【問題】水95gに食塩5gを溶かして作った食塩水の濃度は何wt%か?
【解法】
wt%の計算式は以下の通りです:
\[ \text{wt%} = \left(\frac{\text{溶質の質量}}{\text{溶液全体の質量}}\right) \times 100 \]
・ 溶質(食塩):5g
・ 溶液全体(食塩水):水95g + 食塩5g = 100g
計算すると:
\[ \left(\frac{5g}{100g}\right) \times 100 = 5 \, \text{wt%} \]
したがって、この食塩水の濃度は5 wt%です。
問題2: 食塩水中の食塩の量
【問題】100gの10wt%食塩水には食塩が何グラム含まれているか?
【解法】
10 wt%の食塩水は、食塩水の全質量の10%が食塩であることを示します。したがって、100gの食塩水には食塩が10g含まれています。
問題3: エタノールと水の必要量
【問題】20wt%のエタノール水溶液1リットルを作成するには、エタノールと水はそれぞれ何グラム必要か?(エタノールの密度は0.789 g/cm3とします)
【解法】
1. エタノールの質量計算
20 wt%のエタノール水溶液では、溶液100g中に20gのエタノールが含まれています。1000gの水溶液を作るためには200gのエタノールが必要です。
2. エタノールの体積計算
エタノールの密度が0.789 g/cm3のため、200gのエタノールは約253.5 mL(cm3)となります。
3. 水の体積計算
1リットルの水溶液を作るため、エタノールの体積253.5 mLを除く残りの体積746.5 mLの水が必要です。
4. 水の質量計算
水1 mLあたりの質量が約1gなので、746.5gの水が必要です。
【回答】
20wt%のエタノール水溶液1リットルを作成するためには、エタノール200gと水746.5gが必要です。
重量パーセント(wt%)の基本と、一般的なパーセント(%)との違い
wt%は、溶液中の成分を質量基準で表すことで、その濃度をわかりやすく示します。化学において、この指標は濃度を計るために頻繁に用いられます。これは溶液内の溶質の重量を溶液全体の重量に対して百分率で表示したものです。
・ wtは「weight(重量)」を指します。
・ %はパーセント(百分率)を意味します。
例えば、100gの溶液中に溶質が何グラム存在するかを示す指標がwt%です。
wt%の計算法
重量パーセントは以下の式で計算されます:
\[ \text{wt%} = \left(\frac{\text{溶質の質量}}{\text{溶液全体の質量}}\right) \times 100 \]
・ 溶質:溶液に溶かされた物質
・ 溶媒:溶質を溶解する物質
・ 溶液:溶質と溶媒が混合した状態
例として、100gの食塩水に5gの食塩が溶解している場合、食塩のwt%は5wt%です。
wt%の利点と制限
・利点
・ 温度変化に強い:体積は温度変化により変動する可能性がありますが、質量は安定しているため、wt%は温度変化の影響を受けにくい。
・ 計算の容易さ:質量を用いるため、測定と計算が直接的でシンプルです。
・制限
・ 体積が不明:wt%では溶液の体積が直接計算されないため、体積に関する情報が必要な場合には別の方法を用いる必要があります。
・ 溶媒間の比較が困難:異なる溶媒では密度が異なるため、異なる溶媒を用いた溶液の濃度を直接比較することが難しいです。
重量パーセント(wt%)と体積パーセント(vol%)の区別
・wt%(重量パーセント): 溶液中の溶質の質量を溶液全体の質量に対して百分率で示します。
・ vol%(体積パーセント): 溶液中の溶質の体積を溶液全体の体積に対して百分率で示します。
使用シナリオ
・ 溶液の密度が一定の場合: wt%とvol%は互換性があり、どちらも同様に使用可能です。
・ 溶液の密度にばらつきがある場合: wt%を使用すると、より正確な濃度表示が可能です。
wt%の特徴
・ 溶液の質量比を用いた百分率表示
・ 温度の変化による影響が少ない
・ 計算が比較的容易
他の濃度表示方法
・モル濃度 (mol/L): 1リットルの溶液中に含まれる溶質のモル数を表します。
・モル濃度 (molality): 1キログラムの溶媒中に溶解している溶質のモル数を表します。