はじめに|最高の乗り心地をめざす理由
私が「乗り心地」という言葉にこだわるようになったのは、単なる趣味でもブランドでもなく、“身体感覚と心の安心”を感じる瞬間だった。
20代のころ、深夜に高速を走ることがあって、そのときの車がSUVだったんだけど、シートに体を預けているとまるで“家のリビング”にいるような錯覚を覚えたんだ。
ちょっとだけ窓をあけても風の音がかすかで、エンジン音さえ遠くにかすむ静けさに心が解放された。帰り道の疲労感がほとんどなかったのを今でも覚えてる。
その体験以来、「最高の車とは走る部屋だ」と断言できるようになった。そのシンプルな感覚が、私にとってクルマの価値の根幹になっている。
だからこのランキングでは、“静かさ”“滑らかさ”“振動吸収力”を基準に、ドライバー目線で選んだ最高水準の10台を紹介する。走る喜びはただ速いことだけじゃなく、心地よい空間を求めるところにある。それこそが、真のラグジュアリーだと思ってる。
オーナー満足度トップSUV:メルセデス・ベンツ GLE
GLEに初めて乗った瞬間、まず耳元を通り抜けたのは静かさだった。走行中の風切り音や路面ノイズがほとんど耳に入らず、車内と外界との“境界線”が曖昧になった。
その状態で山道のコーナーを通過しても、揺れは穏やかで、「車に乗ってる」というより「空間を移動している」感覚になった。
英国の『Driver Power』調査では、オーナーがGLEの乗り心地と安全性に対して92点以上を与えている 。その満足度の高さは数字だけでなく、実際に触れても明確に感じられる。
ただしフォーラムやレビューでは「凹凸への反応が敏感すぎる」との声も見かけた 。確かに段差をゆっくり越えようとすると、車体が一瞬止まりそうな動きをする。
だが個人的には、それすら「動きを安定的に制御してる証拠だな」と感じたし、それで振動を抑えてから次の動きを滑らかにしていると思う。
つまりGLEの乗り心地は「強固で安定した制御」と「身体間に響かせない振動吸収」のバランスで成り立ってる。高速も一般道も安心して流せることが、唯一無二の贅沢だと感じてる。
フルサイズ高級SUVの頂点:ロールス・ロイス カリナン
Cullinanに初乗車したときの衝撃は、言葉では言い表せない。ショーファードリブンスタイルで助手席に座っていたんだけど、舗装の粗さや路面の継ぎ目がまるで“消えている”。
まるで車が路面を“かき分けて”あげているような乗り心地で、「魔法の絨毯」と呼ばれる所以を改めて実感した 。
乗員全員がその後に「まるで酔わなかった」「本当に静かだった」と驚いているエピソードもあって、居住性・静粛性が他車とは歴然と異なるレベルで保たれていた 。
私は「車とはこういう乗り物だ」と思わされ、運転席に戻った瞬間、GLEを運転していてもCullinanを意識してしまうほどだった。
カリナンはただの車ではなく、心身に“安心を与える装置”だと実感して、「このクルマを選んでよかった」と思える体験だった。
体験談:BMW 7シリーズ・Sクラス vs GLEとの比較
ある休日、BMW 7シリーズをレンタルしてGLEと乗り比べる機会があった。最初に驚いたのは7シリーズの“しなやかさ”。
ゆっくり座席を倒すようにボディ全体が沈んでいく感覚が、とても落ち着く。高速域でも車内の静かさはGLEと同等か、それ以上だった。
ただしコーナーの感覚は異質で、7は柔らかく受け止める印象。GLEはドライバーを車体で支えてくれる安定感が強い。私はどちらかというとストレート多めの道で、乗り心地に神経を使わず進めるGLEに好感が持てた。
一方、Sクラスはさらに上だった。Magic Body Controlという走行制御で、基本動作をAIが先読みしてくれて、路面情報を予測してくれる。
それによって、「道を滑って走る」ような超絶滑らかさだった 。もちろん所有後の取り扱いも現実的に考慮すると、私の場合はGLEか7シリーズのほうが気軽に走り続けられる選択になると感じた。
このように乗り心地ひとつで、車との関係性や選び方が変わる。その体験を記事にすることで、読者が自分に合った最高の一台を想像しやすくしたい。
なぜ乗り心地にこだわるのか?
乗り心地は単なる快適性ではない。身体の疲労感やイライラといった心理面、家族との会話の中断や寝つきの良し悪しにも直結する要素なんだ。
私自身、長時間ドライブの翌日に肩や腰が痛くなった経験は何度もあるし、それで車そのものへの感情がネガティブになることもあった。
でも最高の車に乗ると、翌朝の目覚めが違う。身体の芯がふっと軽くなるような感覚。「車の性能を味わいながら疲れない乗り心地」が人生の質をあげる要素になるって、声を大にして言いたい。
だから、ランキングとして挙げる車すべてには、“身体が疲れないか”“精神が落ち着くか”を重要な指標にして深掘りしていく。