高級腕時計の世界に一歩踏み出したとき、私が最初につまずいたのは「英語」でした。ブランド名やモデル、パーツの名称に至るまで、ラグジュアリーな時計の多くは英語で語られます。
本記事では、実際に私が英語を学びながら高級腕時計を購入し、レビューし、メンテナンスまで体験した記録をもとに、「Luxury Watch」「Horology」などの用語から、海外ショップで使えるフレーズまでを丁寧にご紹介します。
時計が好きなあなたにこそ届けたい、英語学習のリアルな物語です。
高級腕時計 英語の基本用語をマスターしよう
私が初めて“Luxury Watch”という言葉に出会ったのは、30歳を過ぎてからだった。それまでの私は、時間を確認するだけならスマホで充分という、いわば「機能至上主義者」だった。
だが、ある日ロンドン出張の折、取引先のCEOがさりげなく袖口から覗かせていたパテック フィリップを見た瞬間、私の価値観が音を立てて崩れた。
あのときの光沢、重厚感、そしてあの“存在感”。「これは単なる時計じゃない」と直感した私は、帰国後すぐに“Luxury Watch”とGoogleに打ち込んだ。
最初にぶつかった壁が、英語だった。
「Timepiece」「Horology」「Chronograph」……意味はわかっても、使い方がわからない。私は文法よりも先に、この分野特有の“語感”を身につける必要があると感じた。
今思えば、英語学習ではなく“高級腕時計を通じた語彙体験”だった。
✅ 最初に覚えた3つの英語表現
- Luxury Watch(高級腕時計)
- Timepiece(よりフォーマルな「時計」の言い方)
- Horology(時計学。奥が深く、後に深掘りすることになる)
これらの単語は、当時まだTOEIC600点台だった私には「なかなか手が届かない語彙」だったが、好きなもののためなら記憶力が自然と働いた。やがて、YouTubeのレビュー動画やフォーラムで、これらの単語が自然と聞き取れるようになっていった。
世界の高級腕時計ブランドとその英語表記
高級腕時計に興味を持ち始めると、自然と有名ブランドへの関心が高まってくる。私が最初に英語で覚えたブランド名は、世界的に知名度の高いRolex(ロレックス)だった。
だが、実際に英語でブランドを語るとなると、ただ名前を言うだけでは不十分だった。以下のように、モデル名+機能+背景知識がセットになると、会話に厚みが増す。
🌍 英語で覚えたブランド名と説明の一例
- Rolex Submariner
「It’s a diver’s watch launched in 1953. Iconic for its robustness and timeless design.」 - Patek Philippe Calatrava
「It’s known for its minimalist elegance. A classic dress watch.」 - Audemars Piguet Royal Oak
「Introduced in 1972, it was the first luxury sports watch in stainless steel.」
このように英語で言えるようになったのは、オンラインの時計フォーラム(特にWatchuseekやRedditのr/Watches)を1日1時間、半年間読み込んだ成果だった。
「英語の参考書は読まない。でも時計のレビューは英語で読む。」
私の学習スタイルは常に偏っていたが、それで良かった。興味があることならば、専門用語も耳に馴染んでくる。
高級腕時計のパーツ名称と英語表現
ある日、銀座のブティックで店員にこう尋ねた。
「こちら、リューズはどこにありますか?」
そのとき、隣にいた外国人客が「Can you show me the crown position?」とスムーズに聞いていたのを聞いて、私は恥ずかしくなった。
“Crown”。王冠ではなく、リューズ。英語ではこのように、時計部位の呼び方が感覚的に違うのだ。
🛠 よく使うパーツの英語名称
日本語 | 英語表現 |
---|---|
文字盤 | Dial |
針 | Hands |
リューズ | Crown |
ケース | Case |
ベルト | Strap / Bracelet |
裏蓋 | Case Back |
ベゼル | Bezel |
覚えるコツは、一つひとつのパーツを触りながら英語でつぶやくこと。
「This is the bezel… not the case…」とつぶやきながら覚えると、自然と用語が定着していった。
でもその頃には、時計も英語も、私にとっては“実践道具”だったのだ。
高級腕時計の機能・仕様を英語で理解する
時計を語る上で、機能は避けて通れない。特に英語で「クロノグラフ」「トゥールビヨン」などを説明するには、それなりの語彙力と理解力が必要だった。
例えば、Chronographは「ストップウォッチ機能付き時計」だが、英語で言うとこうなる。
“A chronograph is a watch with an additional stopwatch function, usually activated by pushers.”
また、Tourbillonは一見難しいが、慣れてくると美しく説明できる。
“A tourbillon is a rotating cage designed to counteract the effects of gravity on the escapement.”
最初は「なんだそれ?」だったが、スイスの時計博物館で実物を見てからは一発で理解できた。やはり、“百聞は一見に如かず”は英語学習にも当てはまる。
英語力とともに育った時計観
私の時計への理解は、英語の語彙とリンクしている。
たとえば「Automatic」(自動巻き)を知ったのは、Seikoの海外レビューを読んだときだった。
“This Seiko automatic watch features a reliable 7S26 movement with 40-hour power reserve.”
この1文を読んだとき、私は「Power Reserve」という概念すら知らなかった。でも、それをきっかけに、自動巻きの仕組みを英語で調べ始めた。
結果的に、私は時計を通じて自然と英語を使う生活へとシフトしていった。
次では、実際に海外ショップで高級腕時計を購入した際の、リアルな英語フレーズとやりとりの記録をご紹介したい。
- どんな風に聞けば在庫確認できるのか?
- 英語で「保証書付きですか?」はどう聞く?
- 海外のセールストークは、どういう言い回しが多い?
そんな実体験に基づいた“生きた英語表現”を、この記事でできるだけ具体的にご紹介していく。
高級腕時計の購入・販売に関する英語フレーズ
私が初めて高級腕時計を海外で購入したのは、ニューヨークの5番街だった。
旅行者向けのVAT還付制度も魅力ではあったが、それ以上に私を動かしたのは「英語で自分の欲しい時計を、きちんと伝えられるか」という自分への挑戦だった。
実際に使った英語フレーズ
店員との最初の会話は緊張の連続だった。
-
“Hi, I’m looking for a specific model from Omega. Do you have the Seamaster 300 in stock?”
在庫確認のこの一言に、どれだけ時間をかけて練習したか……。
しかし、案外あっさりと
“Yes, we just got a new shipment this morning. Would you like to try it on?”
と言われた瞬間、肩の力が一気に抜けた。
「通じた」だけではない。ちゃんと時計の話が成立したのだ。
それは英語の上達というより、「高級腕時計」という共通言語があったからこそ、成り立ったコミュニケーションだった。
💬 他にも覚えておくと便利なフレーズ
-
“Does it come with the original box and papers?”
(正規の箱と保証書は付いていますか?) -
“Is this model still under warranty?”
(まだ保証期間内ですか?) -
“Can you hold this for me until tomorrow?”
(明日まで取り置きできますか?)
これらは、オークションサイトやeBayでも頻出する表現だ。リアル店舗だけでなく、オンライン購入にも対応できる語彙として覚えておいて損はない。
高級腕時計のレビュー・評価を英語で読む・書く
ある日、海外の腕時計フォーラム「Watchuseek」で、私は初めて英語でレビューを書いた。
モデルは、タグ・ホイヤーのCarrera。
タイトルはシンプルに:
“My First Carrera – A Week of Wearing Impressions”
以下のように、段落ごとに構成を分けた:
-
Design & Comfort
-
Movement & Accuracy
-
Everyday Wearability
-
Final Thoughts
語彙は中学レベルでもいい。ただし、自分の感じたことを正直に書くのが何より大切だと学んだ。
レビューを書くことで、自分の観察力も語彙力も格段に上がる。
たとえば、「文字盤が光に当たると美しい」という一文も、英語ではこうなる:
“The sunburst dial reflects light beautifully, adding depth to the overall design.”
この一文を自分で書けたとき、「英語のレビューが自分のものになった」と感じた。
高級腕時計に関する英語の略語とその意味
フォーラムで英語レビューを読むうえで最初につまずいたのが、「略語」だった。
COSC、GMT、ETA、OEM、NOS……。最初はどれも見慣れない専門用語に感じた。
よく使われる略語の意味(英語+和訳)
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COSC:Contrôle Officiel Suisse des Chronomètres
(スイス公式クロノメーター検定機関)
“This watch is COSC-certified, meaning it meets strict accuracy standards.”
-
GMT:Greenwich Mean Time
(第二時間帯表示機能) -
OEM:Original Equipment Manufacturer
(他社製のムーブメントを採用している時計に多い) -
NOS:New Old Stock(未使用の古い在庫)
これらは“時計好き”の間では当然の知識だが、英語学習者としての私には未知の領域だった。
だが一つ一つの意味と背景を調べるうちに、まるで時計の設計図を読み解くような感覚になった。
高級腕時計のメンテナンス・修理に関する英語表現
私が英語で「修理の依頼」をしたのは、Omega Speedmasterのストラップが切れたときだった。
ロンドンのサービスセンターでの会話:
-
“The strap is broken, and I’d like to replace it with an original one.”
するとスタッフは、
“No problem. We have the genuine leather strap in stock. Would you prefer black or brown?”
この時ほど「genuine(純正)」という単語が身に染みたことはない。
また、修理見積もりについて尋ねる際はこう言った:
-
“Could you give me an estimate for the replacement and adjustment?”
シンプルな表現でも、誠実に伝えることが何より大事だと感じた瞬間だった。
高級腕時計に関する英語学習のおすすめリソース
私の英語学習は、すべて“時計ありき”だった。文法書はほとんど開かなかった代わりに、次のようなコンテンツに没頭した。
🔎 英語リスニング教材として活用したもの
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YouTubeチャンネル
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Watchfinder & Co.(レビューの語彙が豊富)
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Teddy Baldassarre(初心者向けの解説がわかりやすい)
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英語ポッドキャスト
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The Grey NATO(時計とライフスタイルの話題が中心)
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Hodinkee Radio(業界関係者のリアルな英語が学べる)
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雑誌・Webメディア
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Hodinkee.com
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Monochrome Watches
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これらは単なる読み物ではない。“時計で学ぶ英語”という視点を持てば、すべてが語彙トレーニングになる。
締めくくり:時計と英語、そして私の人生
高級腕時計と英語。一見まったく関係なさそうなこの二つが、私の人生を大きく変えた。
英語ができるようになったのではない。“好き”があったから、英語に触れ続けられた。
そして、言葉だけでなく、国境を越えた人とのつながりも得られた。
もし今この記事を読んでいるあなたが、「英語が苦手だけど時計が好き」なら、私はこう言いたい。
時計は、あなたの語彙力を磨く最高の“相棒”になってくれる。
まとめと今後のステップ
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高級腕時計を通じて英語表現が“生きた言葉”として身につく
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レビュー、購入、修理、略語解説など、実践場面が豊富
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まずはお気に入りの時計を一つ英語で紹介する練習から始めよう