高級車にスライドドアなんて邪道──私はずっとそう思ってた。
高級車といえばセダン。BMWやベンツみたいな低くて重厚なやつ。それが「男の車」だと信じて疑わなかった。
ところが、ある日ふと立ち寄ったトヨタのディーラーで出会ってしまった。黒光りするアルファード。
あれ?なんかカッコいい。…でも、スライドドアだぞ?本当に“アリ”なのか?
その答えは、試乗した瞬間にわかった。乗ったとたん、価値観が変わった。いや、ぶっ壊された。
この記事は、そんな私が“高級スライドドア車”に偏見を持ち、そしてそれを覆されるまでのすべてを語った体験談だ。
さらにアルファード以外の候補車、選び方、そして「なぜスライドドアが“高級”になり得るのか」を、リアルに語っていく。
高級車 スライドドア──あり得ないと思っていた日々
「高級車にスライドドア? それってミニバンとかファミリーカーに付いてるやつでしょ?」
正直、以前の私もそう思っていた。私は自他ともに認める車好きで、これまでセダン派として高級車と向き合ってきた。20代では中古のクラウン、30代前半でレクサスES、そして今。人生の節目として新車の購入を検討していた。
候補に挙がったのは、当然ながらメルセデス・ベンツEクラスやBMW 5シリーズ。それらを見て回る中で、ある日偶然立ち寄ったトヨタのディーラーで、私は”それ”に出会ってしまった。
アルファード。エグゼクティブラウンジ。
全身ブラックのボディ、威圧感のあるフロントフェイス、堂々たるサイズ感。これまで「高級ミニバンなんて」と内心でバカにしていた私の価値観が、まさに音を立てて崩れた瞬間だった。
その日から、私はスライドドア付きの高級車について本気で調べ始めた。YouTubeでのレビュー、ユーザーブログ、メーカーサイト。調べれば調べるほど、アルファードの人気と評価の高さに驚いた。
「ファミリーカーじゃなくて、“移動するラグジュアリー空間”なんだな」
そう感じるまでに時間はかからなかった。
初試乗で感じたのは“高級車”の新しい定義
営業マンに促され、試しに運転席へ。ドアを開ける瞬間からもう、何かが違った。スライドドアがまるでホテルの自動ドアのように静かに開き、助手席には妻、後部座席には娘と義母が乗り込んだ。
エンジンをかけると、車内はまるで静寂の箱舟。まさに移動するスイートルームだった。
走り出すと、車重のあるボディとは思えないほど滑らか。段差を越えても振動は抑えられ、車内では娘がスヤスヤと眠っている。
義母がぼそっとつぶやいた。「これは……乗ったことのある車の中で一番快適かもね。」
その一言が、心の奥に刺さった。
また、インテリアの質感も群を抜いていた。レザーシートは肌に吸い付くような感触。アンビエントライトが淡く灯り、まるでラグジュアリーホテルの一室にいるかのようだった。
「これが本当にミニバンなのか……?」
驚きと感動が交錯した。
さらに、後席のエグゼクティブラウンジシートはまさに“社長席”。
電動リクライニングに加え、オットマン付き。USB端子や読書灯まで完備され、下手な飛行機のビジネスクラスより快適だった。
もう「スライドドア=庶民的」という先入観は、この時点で完全に消え去っていた。
スライドドアの利便性を“体感”する日常
購入後、スライドドアのありがたみを何度も痛感することになる。
まず、保育園の送り迎え。
子どもを片手に抱えながら、ワンタッチで開閉できる電動スライドドアは本当に助かる。雨の日や荷物が多いとき、その真価がよくわかる。
次に、ショッピングモールの立体駐車場。
両隣に車がいても、スライドドアなら余裕で乗り降りできる。以前のセダンなら、ドアをぶつけないよう神経を使いまくっていたあのストレスはどこへやら。
さらに、仕事での送迎でも一目置かれる。
取引先の部長を後部座席に乗せた際、彼はこう言った。「いや〜、この車いいね。後ろのシート、ファーストクラスみたいだよ。」
高級車とは、“見た目の価格”ではなく、“乗る人すべてが快適かどうか”で評価されるもの。そう気づいた瞬間だった。
スライドドア=ファミリーカーのイメージを覆す
私の周囲にも、かつての私のように「高級車にスライドドアはちょっと……」という意見を持つ友人が多かった。
だが、実際に私のアルファードに乗った彼らの反応は毎回同じ。
「やばい、マジで高級車じゃん……」
「これは確かに“アリ”だな……」
一度乗れば、その快適性と存在感に誰もが黙る。それがアルファードという車であり、スライドドア付き高級車というジャンルなのだ。
ある日、車好きの後輩がこんなことを言った。
「○○さん、車変えたんすね。でもスライドドアって、なんかおっさん臭くないっすか?」
私は彼を助手席に乗せ、30分ドライブした。
帰る頃には彼はこう言っていた。
「俺も次、アルファードにしようかな……」
高級スライドドア車で得た“人の縁”と“自信”
この車にしてから、明らかに人と繋がる機会が増えた。
街中の駐車場で、知らない男性に「それエグゼクティブラウンジですか?」と声をかけられたこともある。
仕事で訪れた先でも、「この車で来られるとは、さすがですね」と言われるようになった。
「スライドドアはダサい」──そんな偏見はもうどこにもない。
今では逆に、「高級車にこそスライドドアがふさわしい」と本気で思っている。
また、家族からの評価も高い。妻は「買い物で荷物が多い日も、これなら余裕」と言ってくれるし、娘は毎日「パパの車、カッコいい!」と笑ってくれる。
車を通じて得た“誇り”は、思った以上に日々の自信につながっている。
スライドドア付き高級車を選ぶ際のアドバイス
もし、この記事を読んで「自分も検討したい」と思ってくれたなら、最後に一つだけ伝えたい。
高級車に何を求めるか。それは“走り”か“ブランド”か“見た目”か、あるいは“快適性”か。
私にとって、それは「同乗者へのもてなし」だった。
家族、取引先、友人、そして自分自身。誰が乗っても「いい車だね」と自然に言ってもらえる。それがこの車の最大の価値だ。
アルファード以外の高級スライドドア車おすすめ5選
ここで、アルファード以外の「スライドドア付き高級車」を実体験や試乗経験をもとに紹介しておきたい。
1. ヴェルファイア(トヨタ)
アルファードの兄弟車。外観デザインはよりアグレッシブで、若年層の富裕層や法人需要にもマッチする。2023年モデルでは「Executive Lounge Z」グレードが秀逸。アルファードよりも価格を抑えつつ高級感を維持している。
2. エルグランド(日産)
走行安定性と低重心設計で知られるエルグランド。やや古さはあるが、内装の質感や静粛性は未だにトップクラス。後部座席の快適性も高く、長距離移動では真価を発揮。
3. オデッセイ(ホンダ)
スライドドア付きのミニバンの中で、最も走りにこだわった1台。低床設計とコンパクトな取り回しで都市部にも最適。プレミアム感は若干控えめだが、上位グレードは本革シート・上質な内装で高級感も演出されている。
4. グランエース(トヨタ)
トヨタが誇るハイエンド送迎車。主に空港送迎やVIPカーとしての採用が多い。全長5メートル超の大柄なボディと上質なキャビン。商用+高級を両立した唯一のモデル。
5. デリカD:5(三菱)
意外かもしれないが、走破性と室内空間の快適さで評価が高い。特にアウトドアやアクティブな富裕層には根強い人気がある。パワフルなディーゼルとスライドドアの組み合わせは実用面で◎。
用途別・スライドドア付き高級車のおすすめ選び方
● 家族持ちに最適:アルファード・オデッセイ
- 小さな子ども、高齢者にも優しい乗降性
- 電動スライドドアで荷物の積み降ろしが圧倒的に楽
● 法人送迎・役員車:ヴェルファイア・グランエース
- 落ち着いたデザインと重厚な乗り心地
- 後席の快適性と静粛性が重視される場面に適す
● アウトドア好き:デリカD:5・エルグランド
- 高い走破性、4WD対応
- 荷室も広く、趣味と実用を両立できる
スライドドア付き高級車に関するFAQ(よくある疑問)
Q1:スライドドアって壊れやすくない?
→ 現代の電動スライドドアは非常に精度が高く、定期点検をすれば大きな故障はまれです。万が一の故障時にも手動で開閉できる設計が多いので安心です。
Q2:スライドドアは見た目がダサいって本当?
→ 一昔前の話。現在はデザイン技術が進化し、ヴェルファイアやグランエースなどは重厚感と高級感を兼ね備えています。
Q3:走りはどうなの?ミニバンって遅い?
→ 最近のモデルはトルクも強く、アルファードの2.5Lハイブリッドやヴェルファイアのターボなど、十分にパワフルです。運転感覚も重すぎる印象はありません。
Q4:セダンとの維持費の違いは?
→ サイズや重量によって多少税金は高めですが、ハイブリッドモデルもあり燃費性能は上々。保険料や整備費はセダンと大差ないケースも多いです。
Q5:中古で買うならどのモデルがおすすめ?
→ アルファード・ヴェルファイアの3年落ちが人気。走行距離3万km以内・エグゼクティブグレード狙いで探すとコスパ良好です。
結論:高級車にスライドドアは必要か?私の答え
必要かどうかではない。「乗ればわかる」というのが、今の私の本音だ。
スライドドアは、高級車の価値を“自分中心”から“乗る人すべての快適さ”へとシフトさせてくれる。
30代の今、私はこの車と出会えたことを本気で誇りに思っている。
あなたがもし、高級車選びに迷っているなら。
ぜひ一度、スライドドア付きの高級車に“乗ってみて”ほしい。
人生の価値観が変わるかもしれないから。