吾輩、オメガ沼に堕ちる。限定スピードマスターに踊らされた男の記録

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ラグジュアリーライフ

出会いは突然、スピマス限定で人生がちょっとズレた話

吾輩がスピードマスターの“限定モデル”なるものに出会ったのは、去年の11月。
紅葉が街を染めていたあの頃、仕事もそこそこ、趣味も薄れ、何か物足りなさを感じていた。

そんなある日、YouTubeのおすすめに、
「オメガ スピードマスター アポロ11号 50周年記念モデル」が出てきたのだ。

クリック。
数十秒で、全身に衝撃が走る。

ゴールドのインデックス、ブラックの文字盤、ムーンウォッチのロゴ…
気づけば心の中で「欲しい」「無理」「でも欲しい」「無理じゃないかも」と、4つの声が交錯していた。

この時点で、もう吾輩は負けていた。
オメガという時計ブランドではない、“ストーリー”に飲み込まれたのだ。

“限定”という魔力:言葉に惑わされる男の性

時計に疎い友人にこの話をしても、
「へぇ、時計なんて時間わかればよくない?」と鼻で笑われた。

違う、そうじゃない。
スピードマスターはただの時計じゃない。
NASA公認の“宇宙に行った唯一の時計”である。

しかも、それが“限定モデル”。
アポロ11号とか、エド・ホワイトモデルとか、スヌーピー記念版とか。

まるで時計なのに、歴史書を腕に巻くような感覚。

その“今だけ”感が男心をふわっと溶かしてくるのだ

ちなみに、オメガは頻繁に限定を出す。
もう限定じゃないモデルのほうが珍しいんじゃ?ってくらい。

そのくせ、1,970本限定とか中途半端な数字がまた絶妙にリアリティある。

「まだ買えるかも」と思わせて、調べる頃には大体もう売り切れ。

そんな絶妙な“じらし戦法”に、吾輩はまんまと踊らされる。

ネットの欲望市場:中古スピマスはカオスだった

まずは楽天。
次にAmazon、メルカリ、ヤフオク、Chrono24まで片っ端から検索。
しかし限定モデルの中古はもはや理性を試される迷宮である。

・「未使用」だけど「付属品なし」
・「新品」だけど「開封済み、展示品」
・「正規保証あり」だけど「カードなし」

中古市場を覗いてみると、相場感がまるで掴めない。
中には「箱と説明書のみ」でなかなかの値がついていることもあり、世界が違うと感じる。

プレミアモデルとなると、正規価格を大きく上回るケースも珍しくない。
「これは本当に時計の値段か?」と二度見することもしばしばだ。

でもね、限定モデルって、高くても心が揺れるんだよ。

なぜなら『今逃したら二度と出会えないかも』という焦りが、奇妙な使命感を呼び起こすから。

「実店舗巡り」:それは運命の出会いを探す旅

ネットの海を彷徨い続けた吾輩は、ある日ふとこう思った。

「やっぱり、実物を見ないと始まらないよな」

気づけば休日。
原宿、中野、銀座、横浜と、時計店を巡る旅が始まった。

1日5件、2日間で15店舗以上回った結果、見つけたのが
某老舗店に展示されていた「スピードマスター 321 エド・ホワイト復刻モデル」

もう、見た瞬間にビビッときた。
なんなら、脳内で宇宙服の着用音まで聞こえた。

「ピシューン…こちら地球、応答せよ…」

そう、これはただの買い物じゃない、
“宇宙との交信”である。

「時計との対話」:買うか、やめるか、それが問題だ

目の前のスピマス321を見つめながら、店内で20分以上動かない吾輩。

脳内会議が始まる。

  • 現実派:「いやいや、冷蔵庫壊れてるし」

  • 理性派:「今、そんな余裕あるの?」

  • ロマン派:「これを逃したら一生後悔するぞ?」

  • 物欲派:「今この瞬間買わなかったら誰かに取られるぞ」

──そして最後に登場したのが、「宇宙は俺の庭」系妄想担当

「これ…地球最後の一本かもしれないぜ?」

…買った。
「宇宙は俺の庭」系妄想担当が一番声がデカかったwww。

購入直後:「脳内BGMは宇宙戦艦ヤマト」現象

ついに買ってしまった。
あれだけ悩んで、ためらって、でもやっぱり抗えなかった。

スピードマスター 321 エド・ホワイト復刻モデル。
相場より少し割高だったが、それを補って余りある衝動がそこにはあった。

腕に着けた瞬間、なぜか頭の中に鳴り響いたのは、

「さらば〜地球よ〜旅立〜つ船は〜♪」

そう、気分は完全に宇宙飛行士だった。
この時計があれば、空も飛べるし、コーヒーも淹れられるし、ちょっとくらいのトラブルも笑って受け流せそうな気がした。

吾輩、スーパーに行くの巻:謎の“見せびらかし任務”開始

「せっかくだから出かけよう」
時計を買った人間が、絶対にやりがちな行動。

問題は行き先がスーパーだったということだ。

冷凍コーナーでピザを選びながら、左腕に自然と目をやる。

「うん、やっぱかっけぇな…」

誰も見ていないのに、腕をちょっと前に出してみる。
棚のライトに反射させて“たまたま目に入る”角度を作ってみる。
でも誰も気づかない。

時計あるある:誰も見ないのに“見られてる”演技をしてしまうやつ。

身に着けてわかった“限定モデル”の効能とは?

あの時計を買ってから、吾輩には変化があった。

・仕事が早くなった(気がする)
・移動中に無駄に時間を確認したくなる(もちろんスマホじゃなく時計で)
・コーヒーを飲む手の角度がやたら意識的になる
・意味もなく“宇宙”に想いを馳せてしまう

でも、最も大きかったのは──

「この時計には語るべき物語がある」という感覚。

そう、限定モデルの真価はそこにある。
希少性や価格ではない、「語れる」ということ。

「その時計、何?」に答える歓び

ある日、取引先との打ち合わせのあと、雑談の流れで言われた。

「その時計、オメガですよね?もしかして…限定?」

その瞬間、吾輩の中でスイッチが入った。

「実はですね、1965年にNASA初の宇宙遊泳をしたエド・ホワイトという宇宙飛行士がいて…」
「当時のムーブメント321を完全復刻したモデルでして…」
「当初の製造数は少なくて、今市場価格ではプレミアが…」

気づけば10分しゃべってた。
プレゼンか。

でも、その相手は「すごいなぁ」と言ってくれた。

この時計には、“見せる価値”より“語る価値”がある。

所有欲だけじゃない:「人生の文脈に差し込まれる一章」

吾輩がこのスピマスを手に入れてから、時間の感覚がちょっと変わった。

「今、何時?」というよりも、
「今、自分は何をしているべきか?」に意識が向くようになった。

手元で時を刻むこの一本は、
ただのアクセサリーではなく、人生のリマインダーのような存在だ。

ふと迷ったときに、
「そうだ、あの時の決断は間違ってなかった」と思える材料にもなった。

人は何かを所有することで、自分の選択を肯定できるようになる
それが、限定モデルの魔力であり、ありがたさでもある。

まとめ:オメガのスピマス限定、それは“人生の伏線回収”アイテム

スピードマスターの限定モデルは、確かに高い。
でも、それだけの価値があった。

単に「腕に巻く機械」ではなく、
「人生で一度、あの時に買った“物語”」として残るものだった。

吾輩はこの時計を見るたびに、
悩んで、迷って、買って、語って…の全部を思い出せる。

これから何年後、ふと誰かに言われるだろう。

「その時計、何?」

その時、また宇宙の話をしてしまう自分が目に浮かぶ。

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