吾輩は時計である。名前はまだ、ロレックスではない。
だが時を刻むたびに思う。「いつか俺も、あの“王冠”を手にする日が来るのだ」と。
2025年──ロレックスから新作サブマリーナが登場したという報を聞いたとき、吾輩は駅のホームで電車を一本見送った。目に入ったのはスマホの画面。次に入ったのは、その瞬間、心のどこかがムズムズし始めた。
物欲というより、“これはもう運命では?”という謎の納得感だった。
新作情報、第一報──美しさに“無言の圧”をかけてくるロレックス
2025年モデルのサブマリーナは、ぱっと見はそれほど変化がない。
ベゼルの色も、インデックスも、ケースサイズすら21世紀初頭から大きくは動いていない。だがその“変わらなさ”に、ロレックスの凄みがある。
今回の新作で吾輩が震えたのは、ダイヤルカラーの微調整だった。
ブラックでもブルーでもない、「影のあるネイビーグレー」。光の角度で色が変わるあの魔性のトーンは、もはや文字盤ではなく宇宙だ。
スペックも文句なし。
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キャリバーはCal.3235搭載、約70時間のパワーリザーブ
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ケースは904Lステンレス、耐腐食性抜群
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防水性能は300m。もはや海底で生活できる
……だが吾輩は思ったのだ。
こいつは海で使うんじゃない。心の深海に、そっと沈んでいくような時計だ。
見た瞬間、息が止まった。価格を見て、膝も笑った。
価格は、もちろん“それなり”にする。
店頭で見た数字に、思わず一歩引いたのは覚えている。
目玉は飛び出さなかった。目玉がこちらに「無理だろ」と囁いてきた。
ただ、サブマリーナにそれだけの価格がつくのも、わからなくはない。
長い歴史と、今なお人を惹きつける理由がそこにはあるのだ。
むしろ、安いと感じてしまった自分が怖い。
「買う気はないんですけど…」試着、それは抗えぬ誘惑の儀式
吾輩は週末、都内の正規店に向かった。
店に入るとき、店員が笑顔でこう言った。「2025年モデル、入ってますよ」
その瞬間、心の中でゴングが鳴った。ファイトスタートだ。
ショーケース越しに見た新作は、まるで自分の名前を呼んでくるようだった。
「おまえ、いま手首空いてるよな? 空けてるのって、俺のためだよな?」
……知らん、知らんぞ。そういう目で見るな。
「もしよろしければ、試着も可能です」
その一言を合図に、腕時計との“見合い”が始まった。
吾輩の手首に乗った瞬間、世界が静止した
ケースの冷たさ。ベルトの重み。
秒針が動くたびに、背筋がピンとする。たった数十秒の試着の中で、自分という人間が“格上げ”された気がした。
「似合いますね」と言われた。
だが問題はそこじゃない。似合ってしまったこと自体が、最大の罠だった。
吾輩の脳内ではすでに「これを買う理由」が10個並んでいた。
・世間的に価値がある?
・長く使える?
・一生モノってやつ?
違うんだ。そんなのじゃない。
ただ、これをつけた“俺”でいたい──それだけだった。
財布は語る。「それは幻想です」と
正直、それだけの金額をポンと出せるわけじゃない。
他に優先したい出費もあったし、財布が「今じゃない」と言ってる気がした。
けれど、手首にはサブマリーナの感触がまだ残っている。
数分の試着だったのに、記憶の中ではもう1時間以上つけていた気さえする。
帰り道、コンビニでおにぎりを買いながら思った。
「こんなに“本気で欲しい”と思ったの、何年ぶりだろう」と。
それでも買わなかった。でも、もう“逃げられない”
結果として、吾輩はあの時計を買っていない。
だが、あの時計が吾輩の心を所有している。それは事実だ。
人は“物”を買うのではない。
物に込められた「自分との物語」を買うのだ。
サブマリーナ2025年新作は、吾輩にとってただの高級時計ではない。
あれは、憧れの形をした“覚悟の装置”だったのだ。
サブマリーナと生きる自分を、まだ諦めきれない
それから数週間、吾輩は毎晩、サブマリーナのレビューを読み漁っていた。
YouTubeも見た。X(旧Twitter)も検索した。夢にも出てきた。
ついには、「腕時計 購入言い訳 テンプレ」なんていう、自分でも引くようなワードで検索していたwww。
「結婚指輪みたいなもんだろ」
「頑張った自分へのご褒美ってやつだよ」
「腕時計って、男の数少ないアクセサリーだし」
そう、人は本気で欲しいものがあるとき、“言い訳を探しにGoogleへ行く”のだ。
最後に:サブマリーナ2025年モデルは買えなくても、得たものはあった
確かに吾輩はまだロレックスを手にしていない。
でも、サブマリーナの新作に出会ったことで、時計と自分との関係性が変わった。
「時間を見る」という行為が、ただの動作じゃなくなった。
“時間を纏う”ことの意味。
“誰の時間を、どんな自分で刻むか”という問い。
それをサブマリーナは、一言も発さずに教えてくれた。
まとめ:サブマリーナ2025年新作に手を伸ばして得たもの
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✅ 腕時計が“ただのモノ”じゃないと初めて分かった瞬間
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✅ 自分を格上げしたいという、静かな衝動
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✅ 試着だけで1週間心がざわつくという事実
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✅ ロレックスというブランドが、人をどう動かすかの実感
もしあなたがこの記事を読んで、「うわ、自分もやばいかも」と思ったら――
もうすでに片足突っ込んでいる。
ようこそ。ロレックスと“自分”の物語が始まる、その入り口へ。