吾人、ずっと「時計は実用性こそすべて」と思っていた。
時間が正確で、視認性が高くて、丈夫であればいい。そう思っていた吾人にとって、ロレックスやグランドセイコーはまさに“理にかなった相棒”だった。
しかし、40代も半ばを迎えたある日。 ふと立ち寄った時計店で、その出会いは突然訪れた。
ショーケースに鎮座していたのは、ひときわ情報量の多い文字盤を持つ時計。
「なんだこのゴチャゴチャしたのは…?」
最初はそう思った。 だが、数秒後には——
「……いや、これは……めっちゃカッコいい」
そう、吾人が出会ってしまったのはブライトリングのナビタイマーだったのだ。
ナビタイマー初見:これは計器なのか?芸術なのか?
ナビタイマー。 正式名称「Navitimer(ナビゲーション+タイマー)」。 航空時計の王様。クロノグラフの帝王。ごちゃごちゃの美学。
その第一印象は「文字盤がとにかく複雑!」
- メモリが細かい
- インダイヤルが3つ
- ベゼルにも数字だらけ
だが、その混沌の中にある“完璧なバランス”に、吾人は一瞬で心を掴まれてしまった。
これは“ゴチャゴチャ”じゃない。 詰め込まれた知性と技術の集合体なのだ。
ブライトリングというブランド:空を愛した時計
ブライトリングは1884年創業のスイスの名門。 だがナビタイマーが誕生したのは1952年。ちょうど民間航空が発展していく時代だった。
ナビタイマーは、パイロットが飛行中に
- 燃料消費量
- 飛行距離
- 上空速度 などを計算できる“円形計算尺”を搭載。
そう、これは飛ぶための道具=本物の計器なのだ。
その実用性は、アメリカのパイロット協会(AOPA)の公式時計に選ばれたほど。 「空を飛ぶ男たちのステータス」になった。
そして今では、 「飛行機なんて乗らんけど、ロマンは巻きたい」男たちのアイコンへと進化したのである。
吾人、ナビタイマーを試着してみる
銀座のブライトリング正規店。 店員氏に「お似合いですよ」と言われたが、そんなのどうでもよかった。
巻いた瞬間、自分の中の何かがスイッチオンになった。
- 重い。でもその重さが“本物”を感じさせる
- 厚い。でもバランスがよくて邪魔じゃない
- ごちゃついてるのに、なぜか読みやすい
何より、「自分、今ちょっとカッコよくないか?」という謎の高揚感があった。
「情報が多すぎて使いこなせなさそう」問題について
そう、ナビタイマー最大の弱点(と噂されている)問題。
「機能が多すぎて初心者にはハードル高い」 「円形計算尺とか、正直使わないし」
吾人も最初はそう思っていた。
でもな。
使いこなさなくていいんだ。
これは“使うため”の道具であると同時に、 “ロマンをまとって生きる”ためのパートナーなのだ。
使える使えないじゃない。
- 「お前、空を感じてるか?」
- 「今日の自分、ちょっと高く飛べそうか?」
そう問いかけてくる存在。 それがナビタイマーなのだ。
次に、吾人はナビタイマーのデザイン・サイズ感・シリーズ別の特徴をさらに深掘りし、 「どんな人にハマるのか?」を徹底検証していく。
そして最終的に、ナビタイマーを“巻くべき理由”にたどり着く。
ナビタイマーの特徴を吾人が徹底解剖する
ナビタイマーの魅力は、見た目のインパクトだけにあらず。 吾人が実際に試着して、調べて、惚れ込んだ理由はここにある。
✅ 1. デザイン:混沌の中にある秩序
見れば見るほど、美しい。これに尽きる。
- クロノグラフの3インダイヤル
- スライド式の回転計算尺(円形ルール)
- 細かい数字とメモリが文字盤の外周を飾る
これだけごちゃごちゃしているのに、全体のバランスが絶妙。 決して“子どもっぽく”も“過剰”でもない。
まるで、機械仕掛けの宇宙を腕に巻いているような気分だ。
✅ 2. サイズ感・厚み・存在感
ナビタイマーの一般的なケースサイズは41mm〜46mm。 吾人が試したのは43mmだったが、正直デカい。
でも、その“デカさ”がいい。 重さがある。厚みがある。だからこそ、存在感がすごい。
しかも意外と、スーツにも合う。 これは“カジュアル時計”ではない。 知的なヘヴィウェイト・クロノグラフなのである。
✅ 3. 機能美としての計算尺
円形計算尺(回転ベゼル)は、もともと航空計算のための機能。
- 距離 × 燃費
- 燃料の残量予測
- 時速の計算
今となっては、正直使うことはほとんどない。
でも、これが付いていることで“プロ仕様感”が跳ね上がる。 見てるだけで、機能美フェチにはたまらん一品だ。
✅ 4. バリエーションが豊富
ナビタイマーは毎年モデルチェンジ・限定カラーが登場する。
- レザーベルト or メタルブレスレット
- ブラックダイヤル or ブルー、グリーンなど
- 41mm/43mm/46mmとサイズ展開も豊富
これが嬉しい。 人と被りたくない人、ファッションに合わせたい人、サイズにこだわる人。 どんな“腕の主張”にも応えてくれる包容力がある。
ナビタイマーが“刺さる人・刺さらない人”
🛫 刺さる人:
- 飛行機好き、航空無線に憧れてたタイプ
- 時計に語れる“物語”を求める人
- 男のロマンを腕に巻きたい人
- クロノグラフが好きだけど、デザインにもこだわりたい人
🛬 刺さらない人:
- ミニマル命、シンプル一択な人
- 情報量が多いと“疲れる”タイプ
- 軽さ・薄さを最優先にしたい人
ナビタイマーは、万人受けする時計ではない。 だが、心に刺さった人には深く突き刺さる一本だ。
吾人、ナビタイマーの本質に気づく
あれこれ調べて、着けて、また悩んで——ある日ふと思った。
「これは、時間を見るための道具じゃないんだな」
ナビタイマーは、“自分を高く飛ばす装備”だ。
空を飛ばない吾人でも、
- 「今日の仕事、攻めよう」
- 「ちょっと背筋伸ばしてみよう」 そんなスイッチを入れてくれる。
まとめ:ナビタイマーは“ロマンを巻く”ための時計だ
スペックも、デザインも、ストーリーも一級品。 だけど一番の魅力は、巻いた人の気持ちが変わることだ。
- 少し強くなれる気がする
- 少し前向きになれる
- 少し背伸びした自分が、なんか好きになれる
それがナビタイマー。
吾人、今はまだ迷っている。だが、 「いつかこのロマンを自分のものにしたい」 そう思える時計に出会えたこと。
それだけで、この出会いは大きな価値だった。