「高級腕時計って、これからどうなっていくんだろう?」
スマホで時間が分かる時代に、あえて腕時計を選ぶ理由なんてあるのか。…そう思っていたはずの自分が、気づけば何本も時計を持ち歩くようになっていた。
買った、使った、売った、手放した、また欲しくなった──そんな体験を繰り返してきた私だからこそ見えてきた、“高級腕時計とこれからどう付き合うべきか”という問いの答えがある。
このブログでは、単なる流行やランキングじゃなく、「本当に納得して選べる一本」とは何かを掘り下げてみた。初心者にも、すでに数本持っている人にも、ちょっとだけ立ち止まって考えてもらえるような内容になっているはずだ。
この先、腕時計は「持つ意味」が変わっていく
「高級腕時計って、いまさらいる?」
そう言われたことがある。いや、何度もある。スマホで時間なんか一瞬で分かるし、若い人は腕時計そのものを持ってないって話も聞く。なのに、私は今も変わらず左手に時計を巻いている。
別に時間を確認したいだけじゃない。
私にとって時計は、人生の“転機”を思い出させてくれるものだ。
20代の頃、ボロアパートで暮らしながら、無理して買った一本のタグ・ホイヤー。あれは給料の数か月分を飛ばした買い物だった。
だけど、その時計を見るたび「もう少し頑張ろう」って思えた。言い換えれば、自分に対して「やるぞ」って宣言するための道具だった。
そして最近、気づいたんだ。
いまの時代、腕時計をつける人の多くが「意味」を求めている。つまり、単なる道具じゃなく、“自分を語るアイテム”としての腕時計に価値があるってこと。
今後、ますますこの流れは強まっていくと思う。見栄じゃない、実用でもない、自分にとっての意味。そういう時計だけが、これから生き残っていく。
価格が上がる時計と、そうでもない時計の差とは?
私のまわりにも「そろそろ時計買いたいな~」って言う人は多い。でも、その理由を聞くとだいたい「価値が上がりそうだから」なんだよね。
いや、それ、めちゃくちゃ分かる。
私も最初にロレックスを買ったときは、ぶっちゃけ「値上がり狙い」の気持ちが半分あった。
事実、当時買ったエクスプローラーは、数年で中古価格がびっくりするくらい上がっていた。もちろん運もあったけど、あとで気づいたのは「上がる時計には共通点がある」ということ。
その共通点とは──
- 生産数が限られてること
- ブランドの歴史やストーリーがしっかりしていること
- デザインが流行に左右されないこと
たとえば、限定モデルであることはもちろん、毎年微妙なマイナーチェンジしかしないブランドの定番モデルは、やっぱり強い。これはどの業界でも同じだけど、「長く愛されてきたもの」は今後も手堅いんだ。
一方、流行に乗っかっただけのデザインや、広告でゴリ押しされた感のある新興ブランドは、長期的には厳しい気がする。もちろん「好きだから買う」ならいい。でも、「価値が上がりそう」って理由だけで選ぶなら、ちょっと冷静になった方がいい。
いま注目されているブランドとその理由
私は時計好きの知人と定期的に情報交換してるんだけど、最近とにかく話題に出るブランドはこの3つ。
ロレックス、パテック フィリップ、そしてグランドセイコー。
まずロレックス。言わずもがな、圧倒的な知名度と実績。リセールの高さがエグい。何年経っても、価値が下がりにくいんだよね。まさに「安定枠」。
次にパテック。これはもう、ロレックスとは別のベクトル。時計の芸術品って感じ。価格も跳ね上がってるけど、職人技と世界観に惹かれる人が多い。
そして、最近ぐっと注目を浴びてるのがグランドセイコー。国産だし、昔は「オジサンの時計」ってイメージだった。でも最近のモデルはデザインも洗練されてて、精度もえげつない。
実際、私の後輩が買ったスプリングドライブのモデルは、見た目も性能も完璧だった。
こうして見ると、「いま注目されてるブランド」っていうのは、流行より本質的な価値を重視してるんだなと感じる。ブランドストーリー、作りの丁寧さ、長く使える設計。それがあるからこそ、これからも評価されていく。
限定モデルや復刻版は、持つ価値としてどうなのか?
私は一度だけ、限定モデルに手を出したことがある。ロレックスじゃないけど、某ブランドの“世界500本限定”のやつ。正直、見た目に一目惚れして、勢いで買った。
結果──売った。しかもそんなに値上がりしなかった。笑
なんでかっていうと、限定っていう言葉だけで選んだから。デザインが少しクセが強くて、どこかに付けていくにも主張が激しすぎた。だからあまり出番がなかった。使わないから愛着もわかないし、気づけば“ただの保管物”になってた。
一方で、復刻版は意外と使いやすい。デザインはクラシックだし、知ってる人には「あ、それいいね」って言われることが多い。オリジナルと違って現代仕様になってるから、扱いやすいのも◎。
つまり、限定=正義ではない。
本当に大事なのは、「長く付き合えるかどうか」。
同じように、数が少ないからといって、自分にとって魅力的な1本かどうかは別問題だと思う。納得して選べるかどうかがやっぱり大事。結局、自分にとって納得できる1本かどうかが一番大事だと思う。
“新しい買い方”が主流になる時代へ
昔は腕時計って、「一生モノ」って言われてた。じっくり選んで、背伸びして買って、ずっと付き合っていくのが当たり前だった。でも今はその常識が、静かに変わり始めてる。
私がそれを感じたのは、「レンタル腕時計」という言葉に出会ったときだった。
最初は「え、時計を借りるってどういうこと?」ってなった。だけど調べてみると、月額でロレックスやオメガを試せるサービスがあって、実際に使ってる人も多い。しかも、気に入ったら買い取れるプランもあるとか。
これ、めちゃくちゃ合理的だと思った。
私も若い頃、いきなり高級時計に飛びつくのは怖かった。後悔するかもしれないし、そもそも似合うかも分からない。
そんなとき、レンタルやサブスクの仕組みがあれば、もっと気軽にチャレンジできたかもしれない。
さらに最近は、「共同所有」っていうスタイルも出てきてるらしい。複数人でひとつの時計を共有する。まるでリゾートマンションのタイムシェアみたいなノリだ。
もちろん、私はひとりでじっくり向き合うタイプだから、あんまりシェアは向いてない。だけど「時計=自分だけのもの」という常識が少しずつ揺らいでるのは間違いない。今後は「使う目的に応じた持ち方」が、どんどん増えていくんだと思う。
中古市場での“選び方”が未来を分ける理由
ぶっちゃけると、私は中古腕時計を買うことに抵抗がなかった。新品がいいに決まってるけど、それより「理想の1本に出会うこと」が優先だったから。
実際に最初のロレックスは、中古だった。正規品で保証書もついていて、状態も良かった。なにより、そのときの自分にとってベストな選択だった。結果的に、その1本が私の腕時計人生を変えた。
中古市場って、選び方を間違えなければ“宝の山”になる。
ただし注意点もある。
- 保証書や箱、付属品の有無
- 正規か並行か
- オーバーホール歴があるかどうか
- 店舗の信頼性(レビューや運営歴もチェック)
私は一度だけ、安さに釣られて“微妙な個体”を買ったことがある。写真はキレイだったけど、実物は針のズレや裏蓋の細かい傷が多くて、どうにもテンションが上がらなかった。結局、1年も使わず手放した。
中古は一期一会。だけど冷静な目も絶対に必要だ。
これからの時代、モデルによっては中古の方が価値が高まることもあるから、しっかり見極める知識と判断力がカギになる。
初心者がこれから時計を買うなら、どう動くべきか?
「最初の1本をどう選べばいいのか分からない」
この悩み、いろんな人から聞かれてきた。
私の答えはひとつ。
「数字や他人の意見じゃなく、自分の“直感”を信じること」だ。
とはいえ、完全に感覚だけで突っ走るのも怖いよな。
だから私がいつも初心者に伝えてるポイントをここにまとめておく。
- 見た目でテンションが上がること(これ大事)
- 装着感がしっくりくること(毎日つけたくなるレベル)
- 機械式かクォーツかの違いを理解して選ぶ
- 相場より極端に安いものには手を出さない
時計は顔。自分のスタイルを引き立てる道具だと思う。だから「他人にどう思われるか」よりも「自分が毎日ワクワクできるか」で選ぶのがいい。
あと、定番モデルの安心感が好きな人もいる。でも私は、少しクセのある時計の方が愛着が湧く。ただ、私みたいにひねくれた人間は、ちょっとクセのあるやつの方が、逆にずっと使えたりする。
“売る”という選択肢がもたらす価値の変化
以前の私は、「時計を売る」という発想自体がなかった。買ったらずっと持ってるもんだと思ってた。だけど、現実は違った。
仕事が変わったり、ファッションの趣味が変わったりで、腕時計にも“入れ替え”が必要になることがある。そのとき、「ちゃんと売れる時計を持ってるかどうか」で、次の1本へのステップが変わる。
私は一度、あるモデルを売った資金で、ずっと狙ってた別ブランドの時計を手に入れた。そのとき、「売るって、次の一歩なんだ」って思った。
最近はリセールを考えて時計を選ぶ人も増えてるけど、それって悪いことじゃないと思う。むしろ、持続可能な趣味の形とも言える。自分が大事にしてきたものが、次の誰かの手に渡る。それはそれで、ちょっといい物語じゃない?
これから腕時計と付き合うための3つの心得
最後に、私なりの「これからの腕時計との付き合い方」を3つにまとめておく。
1. 流行に流されすぎない
SNSで話題のモデルもいいけど、それだけじゃ自分に合うとは限らない。流行は消える。自分の好みは残る。
2. 「持つ理由」を明確にする
見栄なのか、記念なのか、実用なのか。理由がはっきりしていれば、選び方もブレない。
3. 一度買ったら、とことん使い込む
本当にいい時計は、使い込むほど味が出る。棚に飾るより、腕で育てる。これに尽きる。
高級腕時計の未来は、たぶん“分かりやすく贅沢”なだけじゃない。
「どんなふうに選ぶか」「どんなふうに使うか」で、価値がまったく変わる。
私はこれからも、自分だけの一本を探し続ける。
そして、その過程すら楽しんでいこうと思ってる。時計って、そういうものだから。
記事のまとめ
これまで“一生モノ”と呼ばれてきた高級腕時計の世界は、いま静かに変わり始めている。
スマートウォッチ全盛の今だからこそ、あえて選ばれる機械式。価格や知名度よりも、「自分との相性」や「どんなふうに付き合っていくか」に価値を見出す人が増えている。
私自身の経験からも言えるのは──買うことよりも、“どう使い、どう手放すか”までを含めた付き合い方が、これからの腕時計には必要だということ。新品でも中古でも、定番でも個性派でも、選ぶ人の視点次第でその意味は変わる。
次の1本を選ぶとき、あなたにとって本当にしっくりくる時計と出会えたら。
そのヒントが、この記事のどこかに残せていたなら嬉しい。