吾輩、ビッグバンと出会い、爆発する
吾輩は時計好きである。
いや、正確には「時計に目がないが、財布に制限がある人類」である。にもかかわらず、なぜか高級時計のショーウィンドウを覗いてしまう。まるで、屋台の金魚すくいに全財産を持って臨む少年のように。
そんな吾輩の視界に、ある日突然現れたのがウブロ ビッグバンの新作だった。
その瞬間、時間が止まった。
いや、止まったと思ったら爆発した。
「出会いは突然に」
あの日、いつものように“見るだけ”のつもりで立ち寄った百貨店の時計フロア。ウブロのロゴが燦然と輝く一角。
そこにあったのが、新作ビッグバン。
カーボンケース、透けるスケルトンダイヤル、異素材の融合。
まるで機械仕掛けの未来だった。
吾輩は静かに呟いた。
「なにこれ、かっこよすぎる……」
「スペックを見るだけのはずが」
帰宅後、検索エンジンに打ち込んだワード:
ウブロ ビッグバン 新作 価格
その手は震えていた。
出てきたのは、文字通り“爆発的”な数字。
価格は控えめに言っても、自動車クラス。場合によっては不動産に片足を突っ込むレベル。
だが不思議なことに、吾輩の心は萎縮しなかった。むしろ鼓動が速くなった。
レビューを漁る。
- 「唯一無二の存在感」
- 「着けるだけで視線を集める魔力」
- 「所有すること自体がステータス」
ふむふむ、と頷きながら、吾輩の脳内は完全にビッグバンだった。
「ビッグバンとは何か」
冷静になってから調べた。
「ウブロ ビッグバン」シリーズとは、2005年に誕生した同社のアイコン的ライン。
「異素材の融合(フュージョン)」をコンセプトに、セラミック×ゴールド×チタンなど、想像を超える組み合わせで構成される。
高級時計=クラシック、という常識をぶち壊したモデルである。
今回吾輩が目を奪われたのは、その中でも「インテグラルセラミック」なるモデル。
全体がマットな白。リンクブレスとケースが一体化。
まるで時計というより“近未来の腕用デバイス”。
「気づけばショールームにいた」
翌週、なぜか吾輩は再び百貨店にいた。
「ウィンドウショッピングだよ」と自分に言い訳しながら、エスカレーターで上がる足取りがやけに軽い。
案の定、またあの“魔の引力圏”へ吸い寄せられてしまった。
店員さんが笑顔で近づく。
「気になるモデル、おありですか?」
「いえ、今日はちょっと……」と断る予定だった。
でも、口が勝手にこう言った。
「インテグラルセラミック、試着してみても……?」
気づけば、吾輩の左手首にビッグバンが装着されていた。
重厚感。
質感。
異素材から発せられる“無音の叫び”。
店員さん:「よくお似合いですよ」
吾輩:「そうですか……そうですよね……(錯乱)」
脳内では「買えない」「無理」「でもカッコいい」「でも価格が…」が高速回転。
そして事件は起きた。
財布を出していた。
吾輩、魔の引力圏より帰還す。だが理性は崩壊したまま。
気づけば、紙袋を手にしていた。
その中には、漆黒の箱。そして中には、あの“新作ウブロ ビッグバン”が。
冷静に考えれば、カード決済のボタンを押したあの指もまた、“爆発”していたのだろう。
「ビッグバンが生活に与える影響」
まず、家の空気が変わった。
玄関に入る前に、“どう切り出すか”を3分半ほど悩んだ。
妻:「それ、何の袋?」
吾輩:「いやその……書類的な……ちょっと厚みのある……」
口が勝手にこう言った。
「その……一家に一本あると安心というか……文化財的な……?」
(※このフレーズ、二度と使わないと誓う)
妻:「値段は?」
吾輩:「うーん……価格の話じゃなくて、体験の価値というか……」
妻:「正直に言って」
吾輩:「た、多くは語らない方が家庭の平和につながると思う……」
妻:「つまり高かったのね」
寝室のドアが、秒針よりも速く閉まった。
「装着すると人格が変わる」
朝の出勤。
いつもと同じネイビースーツに、いつもの革靴。
……なのに、ビッグバンがあるだけで、
自分が“選ばれし者”感を放っている気がした。
満員電車の吊り革につかまる手元に、白セラミックの輝き。
「誰も見てないよな……でも、見てるんじゃないか?」
という謎の緊張。
会社の受付でIDカードをかざす時、若干左手の動きを大きくしてしまうのは、もはや反射だ。
昼食時も、時計が濡れないように腕を少し浮かせて食べる。
もはや箸よりも左手首の位置を気にしている自分がいる。
同僚:「その時計、何かのスポーツ大会の副賞かと思いました」
吾輩:「そう、人生という名のレースで勝ち取ったんだよ」
「時計好き仲間の反応」
その週末、時計マニアの集まりに参加。
吾輩:「実は……ウブロ、買いまして……」
全員:「どのモデル?」
吾輩:「ビッグバンの新作、インテグラルセラミックです」
その瞬間、場が静まり返り、ひとりがボソッとつぶやいた。
「ついに、爆発したか……」
全員が深くうなずいた。時計業界では“ビッグバン=覚悟”という暗黙の了解があるらしい。
そこから始まる時計談義は、深夜まで続いた。
オフセットラグの角度について語る男たち。セラミック磨き布の優位性をめぐる争論。秒針の“音”でブランド当てクイズ。
そして最後に、誰かが言った。
「君の財布、よく生きてたな」
吾輩は静かに頷いた。
「財布は死んだが、魂は生きている」
「そして始まる、検索沼」
時計というものは、一つ買うと“次”が見えてしまう生き物である。
新作のラインナップ。
限定モデル。
チタンモデル。ブラックマジック。
そして吾輩の検索履歴が、再び荒れ始める:
ウブロ ビッグバン ブラックマジック 価格
ウブロ ビッグバン 2025年モデル
ウブロ 買いすぎ 相談
時計 メンテナンス 補償制度って必要?
分割払い 負担感 減らすには
夜中、スマホ片手に、時計の画像をスクロールしながら、吾輩はこう思った。
「人はなぜ、何度でもビッグバンに向かうのか」
「まとめ:ウブロ ビッグバンは理性を吹き飛ばす」
今回の新作、インテグラルセラミックは:
- 時計というより、“身につける造形美”
- 価格はたしかに現実的ではないが、所有感は価格を超える
- 使い始めると、日常のテンションが5段階上がる
そして何より——
人を“自分史上最もかっこよく錯覚させる”魔法の装置である。
ウブロを買ったことを後悔しているか? していない。
むしろ、まだ“次”がどこかで吾輩を待っている気がしてならない。
【その後の吾輩】
妻:「それ、ほんとに使ってるの?」
吾輩:「もちろん。これがあると、日々が戦場に変わるからね。」
妻:「あっそ(冷)……それより、水道代払った?」
ビッグバンは、生活費は払ってくれない。
でも吾輩は今日も静かに袖をまく。
「見てくれ、この時を超える爆発を。」